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作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
月羽輝輝として 五四〇一氏 ロイド×コレット 2003/11/12 -

煌々と輝く月の下で焚き火がぱちぱちと音を立てた。
喉の渇きを感じ、ふと目を覚ます。
枕もとにおいたメルトキオ製の懐中時計を見ると、見張りの交代に近い時間をさしていた。
「コレット、起きたのね。まだ交代の時間には少しはやくてよ?」
側にあった水筒をあけて中の水で喉を潤すと、落ち着いたやわらかい声がかけられる。
「んー、おはようございますう…。せんせえ…。」
「まだ眠ってても大丈夫よ?」
目をごしごしとこすると軽く頭を振って、眠気を飛ばそうとした。
「…もう一度寝たら、多分起きれないです…。」
ぱきん。
リフィルが本から顔をあげ、炎の様子を見ると薪を折り火の中へ投げ込む。
その様子をぼんやりと見ると首を回して周りの様子を見る。
目の前にリフィル、少しはなれたところに眠っているジーニアスが見えるが、
明け方の当番のロイドの姿がない。
居たはずの所に毛布が転がっているのがわかる。
どこにいったのか、と少し考えて見るが寝起きの状態ではいまいち頭が動かず、すぐに止めてしまう。
「…顔、洗ってきます…。」
ごそごそと荷物を探り、タオルと洗面道具一式の入った袋を引っ張り出す。
「はい、気をつけてね。」
木々を抜けたところにある川へふらふらと微妙に左右にゆれながら歩くコレットの姿を見送ると、
リフィルはふと首をかしげた。
何か伝える事があったはずと思ったが、どうにも思い出せないので本に視線を戻す。
思い出すのはこの少し後にバッシャーンという水音が聞こえてきた時で、
少し考え上での結論が「まあ、いいか。…見張りの時間、長くなりそうね。」だった。


        ※         ※          ※


何回か木にぶつかりながらも川べりにつく。
簡単に長い髪をまとめ、水際に座って手を流れに差し入れると、
周りの気温に比べて思ったより冷たい水を掬い上げて、ぱしゃりと顔へ浴びせた。
肌に感じた急激な温度変化で一気に眠気が飛んでゆく。それを数回繰り返して顔を拭く。
先ほどまでとは違い、意識がはっきりしてきた事で周りの様子を見る余裕ができた。
きらきらと光を反射する川の穏やかな流れに目をやり、空を見上げる。
「あー、きれいなお月様…。今日は二つとも出てるんだ。すごく近いなあ。」
二つの世界が一つとなったことで、空には二つの月が浮かぶようになっていた。
シルヴァラントで見えていた小さな月はテセアラ。
テセアラで見えていた大きな月はシルヴァラント。
それぞれの世界での名称が残ったままとなり、それが世間にも徐々にではあるが広まっている。
公転周期の違う月が同時に、しかも近くに寄り添って見えているのは珍しかった。
そのまま空を見上げ、眠れなくなったときの習慣で星を数えはじめる。
月の光に隠れているとはいえ、降って来ると錯覚しそうな星空だった。
ふと視界の端に、夜空とは違う強い光が入ってくる。
その方向に目を向けると、木々の間から今度は正面から見える。
その光にひきつけられるように、その方向へ歩き出した。
どうしてかはわからないが、足音を潜め木々を抜ける。
視界が開けると人影が見える。水着姿のロイドが、手に刀を持ち熱心に磨き上げている。
じっと目を凝らすと、川岸にある大きくて比較的平らな岩にすわっているのが遠目でもわかった。
手の甲につけられたエクスフィアと、硬質な輝きを持つ刀が二つの月の光を映し出している。
真剣なロイドの横顔とその輝きをもっと近くで見たくて、
背中から羽を出すとふわふわと無防備に近づいていった。
やがて刀を鞘に仕舞い、立ち上が…ろうとした所で動きが止まり背中に力が入るのが見える。
自分の足が下生えにふれ、かさりと音を立てた。

今日の戦いでこびりついた汚れを落とし、磨き上げる。
空へ高く掲げ、光の反射を確かめた。
軽く笑ってうなずき、手に持った刀を傍らにおいてあった鞘へしまうと、チンと澄んだ音が響く。
安全な場所に戻そうと座っていた岩に立ち上がりかけたところで、
何か生き物の気配を感じて息を潜めた。
(ん、なんだ?殺気は…ない。気配を押し殺してるわけでも…ない。野生動物って訳でもなさそうだ。)
旅の途中で襲ってくるモンスターたちとは違う感じだが、ホーリーボトルを使っているとはいえ、
今自分がいる場所は町や村ではないのだから警戒するに越した事はない。
そのまま意識を研ぎ澄ますと、自分の真後ろで草がわずかに風とは違うリズムで音を立てた。
その方向へ反転し、鞘に覆われた刀を突きつける。

視界に見開かれた青い瞳と金色の髪の流れ、背面にある赤い光、白い布地が広がった。
それだけで何者なのかを理解し刀を引いたとたん、ほっとしたのかバランスを崩して体が傾く。
「げ、しまった!」
「ロイド、危ない!」
慌てて立て直そうとして足を踏み出した先には何もなく、差し出された腕をつかもうと伸ばした手も
空を切って、そのまま水面へと不恰好に落ちてしまった。
バッシャーンと水と体がぶつかり合い激しい音を立てる。
川岸とはいえそれなりの水深があったため、川底に尻餅をついてもたいした痛みはなかったが、
変わりに水が大きく跳ね上がり、頭からかぶってしまう。
持っている刀は何とか腕を上げて水に浸かってしまう事だけは回避した。
「っつ〜。あービックリした…。」
「大丈夫?驚かせて、ごめんね。」
「あー平気平気。コレくらい何ともないよ。俺こそ悪かったな。」
水をかぶってしまったのは今自分の目の前にいる少女 ―コレットも同様で、
丈夫な布地で作られたワンピースが濡れて体の線が見えていた。
服が足に張り付いてしまっているのに気がついたコレットは、
すそをつかむと軽く持ち上げてぎゅーっと絞る。
黒いタイツに覆われている足が太もも近くまで垣間見えた。
(…なんつーかこう、いつも見えないところが見えるのって、結構いいかも…。)
すでに何度か体を重ねているとはいえ、普段見る事ができない姿にわずかに赤面してしまう。
そんな顔を見られたくなくて、ついっと横を向いてしまう。
コレットの方はそんなロイドの反応と邪まな思いには気がつかないで、パタパタとすそを振ると
岸の方へ戻って翼を納め、はいている靴を脱ぎ始めた。

「水浴びしてたの?今夜は結構暑いもんね。」
「ああ。…なんか目がさめちゃってさ。まだ時間あるから寝ようと思ったんだけど寝付けなかった。」
とりあえず立ち上がり、手にもったままの刀を安全な場所に置く。
するすると布がすれる音がするが、川のせせらぎに紛れて耳には入っていても意識の上にあがってこない。
「今朝も寝坊するからだよ。」
「言うなって」
「一応わかってるんだ。…ふあー、水が冷たいねえ。」
水がはねる音がはっきりと聞こえ、乾いてきていた肌にかかる。
その冷たさを知っていても、改めて触れるとぞくりと背筋に寒気が走る。
「そうだな、気温の割には結構冷た…い…。」
「ん、どしたの?」
コレットが素足を浅い所に浸し、軽く水面を蹴り上げている。
動くたびに太もものなかばでひらひらと翻る、
下着の色がかすかに透けるくらい薄手のロングキャミソールが印象的だった。
片方の肩紐が二の腕に落ち、身につけた薄いピンクのブラジャーが少し見えている。
驚いて視線を川岸に向けると、白いワンピースにブーツ、
黒いタイツがきちんとそろえて置かれているのが目に入る。
『足を水につけている』という所までは予想していても、
まさかワンピースまで脱いでいるとは思わなかった為、カッと顔が熱くなる。
「その格好は、ちょっと…。」
「別に寒くないよ?むしろ気持ちいいくらい。濡れてる服を着てるほうが寒いかも。」
返事を聞いて体から力が抜ける。何だか興奮している自分が馬鹿みたいに思えてきた。

「あー、えーっとその、そう言う事じゃなくて。」
「…!そっか、心配してくれてるんだ。確かにこの格好じゃあ、いくらロイドが側にいてくれても、
 モンスターに襲われたらすぐにやられちゃうもんね。」
くるりと自分の姿を見下ろして答える。すそをつまむとふわふわと動かした。
そのたびに太ももの付け根近くで布がたなびき、ブラとおそろいのパンツが垣間見える。
ワザとなのか気付かずにやっているのが理解に苦しみ、悩む。多分気付いていないのだが…。
「……ちがうって。それいったら水着着てる俺も一緒。」
「んー、じゃあ『水の中で遊んでたら転んじゃってずぶ濡れ!』かな?」
すそから離した手を、ポンと打ち合わせる。
「うーむ、間違ってはいない、かも。なあコレット、それ自分で言ってむなしくないか?」
「別に。ホントの事だもん。」
わかってはいても、あまりの天然っぷりに思わず頭をかかえてしまう。
「…あーもう!俺が言いたいのは、俺しかいないからってそんなカッコするなって事。
 少しは恥らってくれよう…。」
それを聞いて、わずかに首をかしげて考え込んでいたコレットだったが、
ようやく理解したのか顔がポッと赤くなり首を左右に軽く振る。
「え、あ、そう言うことか。……ねえ、後ろ向いてて。」
やっとわかってくれたのかとホっと胸をなでおろす。
正直あの格好のままでは、自分が押さえられるかどうか怪しかった。
再び、しゃらしゃらと衣擦れの音が聞こえ、しばらくすると消える。
「おー、もういいか?俺もそろそろ着替えないと…!」
音が完全に消えたことを確認して声をかけ、少しだけ振り返ったところで、背中にやわらかい感触を感じた。
白い腕が脇から回され、体の前で絡むのが見える。
背に密着した感触は、厚い布のごわっとした物とは明らかに違う、
自分の肌に吸い付くようなしっとりとした感触で、それはそれなりに知っている質感で…。
「コレット!」
理解すると同時に口から叫び声がでた。
振り返ってはいないが、おそらく何も着ていない、下着もつけていないことが
触れ合った部分の体温と触感でわかる。
水面を見ると、白い裸体が水流でゆがみながら写しだされていた。
この状況に意識がふっと飛びそうになる。
「あの格好のままだと、自分が押さえられなくなると思ったでしょ?
 …私も同じだよ。言われてから、気がついたけど…。」
何とか腕から逃げ出そうとするが、まわされた手にはかなりの力が入っていて離れる事ができない。
動くと肌の弾力が露骨に背筋に伝わって焦ってしまう。
(なんで最後の最後で察しがいいんだー!マジでどうしよう…。)
そんな事を考えている間に、コレットの手が解かれ、体の上を動き始めた。
羽を出したのか体が浮き上がるのを感じると、唇が耳元に寄せられる。
「逃げちゃ、ダメだよ?」
澄んだ声が聞こえ、脳内に響き渡る。
その声と耳にかかった吐息は甘美で、抵抗する意識が小さくなって行くのを感じた。

耳に軽く口付け、甘噛みする。
ぴくりと反応したのを感じ取ると、その場所を攻め、徐々に首筋、
背筋へと羽根を閉まって唇を下ろしてゆく。
同時に前に回された手も優しく肌をくすぐり、なでる。
いつも彼女にしていることをされて、意識はますます混濁し、飲み込まれる。
背中に押し付けられ、体の前を這う手の動きにあわせて少しづつ移動していくしなやかな体の感触に
下半身は自分の意思とは無関係に反応しはじめた。


(確かに宿やホテルでは四人部屋とか男女別の部屋を使ってばかりだし最近は野宿も
 多くてその時はみんなで交代で見張りに立つから夜に一緒の時間をすごす事はあっ
 ても二人っきりということはなかったし当然体を重ねることもしていなかったわけ
 で内心この状況は願ったりかなったりだったりもするけれど暑かったから水浴びに
 きただけのはずなのに何でこういう状況になってしかもこの状況に流されている!?)


混乱し、あせる思考が疾走し、いろんな言葉がぐるぐる回り、もてあます。
何か言葉を出そうとしても、思いついたものすべてが声の端からこぼれてしまって意味をなさない。
確実に言えるのは、いつになく積極的なコレットの行動に戸惑っていることだった。

腕が胸から鳩尾、わき腹と徐々に下りてくる。
「うわ!コレット、もういい、やめてくれ!」
おりて来るのを止めようとしたロイドの手は間に合わず、水着の上から硬くなってきた部分をそっとなでる。
「…あ、感じてくれたんだ。」
少し恥ずかしそう言うと、前に回って手が水着をいとも簡単におろす。
予想外の行動にされるがまま。コレットの前に全身をさらしてしまう。
おろされた勢いで、ロイドの体はそばの岩に尻餅をついてしまい、ぶつかった痛みに声が出ない。
足元にひざをつくと、コレットの白い手がゆっくりと半立ちになっているモノに絡みついた。
岩に座り込み、手をきつく握ってその感触に耐える。
華奢な指が緩やかに上下に動き始め、混乱した精神を高ぶらせてゆく。
そして、初めての ―自分でするときとは明らかに違う― 感触に戸惑い、
征服感と屈辱感が入り混じったものが背筋を伝う。
手の動きはたどたどしいが、かえって快感が刺激され、ロイドの体と心を絶え間なく攻め立てる。
自分の口からコレットの手の動きにあわせて、荒い呼吸とうめき声が漏れている事が
どこか他人事のように感じられた。
苦しくて、恥ずかしくて、手は自然と上がり視界を隠す。
「はあ…はあ…あ、う…うあ…。」
(や、やば、い。最近抜いて、なかったから、そう長くは、もたない!…多分。)
時折水をかけて流すその水温と、かかる水のわずかな感触さえも快感に変換され、
手の感触ともあいまって翻弄され続けた。

実際の時間はそれほどでもなくても、永遠と続くように感じられる。
唐突に下半身から襲って繰る感覚が消え、閉じていた目を何とかあけた。
快楽に耐えていた様子をコレットが潤んだ目で見つめているのが、霞んだ視界の中に見える。
「もう、いいかな?」
「え…?」
ほっとした反面、残念にも思ってしまう。
ここまで反応してしまった下半身を落ち着けるためには、何としてでも出してしまうしか方法はなさそうだった。
とりあえず強張っていた体から力を抜き手を落とすと、不意にコレットの人差し指が額に当てられる。
そこからパシリと白い光がはじけた。至近距離からの光に驚いて目がくらむ。
反射的に手で光をさえぎろうとするが、体に軽いしびれが走っている事に気がついた。
「あ、な…んだ?コレ…ット、なにを…し、た?」
動かそうとしても、いつものように自分の思い通りには反応してくれない。
「パラライボールのすっごく弱いの。多分ちょっと体がしびれるくらいだと思うけど…。」
「な、なんで、こんな、こ、と」
「いつもロイドが私のこと気持ちよくしてくれているでしょ。こうしないと私、ロイドに負けちゃう。
 それに…あの、その…最近していなかったし。…だから今日は私からしてあげたくて。…だめ?」
下からロイドの顔を見上げ、心配そうな声で尋ねる。
先ほどまでの愛撫で興奮したのか、上気した頬といつもとは違う甘い声にくらくらとする。
瞳も普段とは違う…体を重ねるときに見せる艶を含んだものとなっているが、
どこか虚ろな輝きになっていた。
声とは裏腹に、瞳は強い強制力を感じさせる。
「……」
その輝きに魅せられ、答えを返せないでいると、それを同意と取ったのか言葉が続く。
「それにね、…私、もう、我慢できないの…ごめんね…。」
立ち上がってロイドの上に乗り、手を持ち上げると自分の秘所に当て、動かす。
ぴちゃりと湿った音が響いて手に愛液が絡みつき、そこがかなり濡れていることを示す。
正直これほど濡れているとは思っていなかったので驚く。
つっと愛液が指を伝って下半身へ零れ落ち、その感触に思わずごくりと息を呑む。
それだけ、コレットが自分を自ら求めてくれている事が少しだけ嬉しかった。

ロイドの手を戻し、そっと剛直に自分の手を添えると、反対の手で自ら秘所を割り開く。
その姿に本能に飲み込まれていた意識が、少しだけ現実に引き戻された。
(やばい、やばい。ぜってーやばい。ここ外だし、先生達も近くにいるし、
 何よりコレットの目がどっかイっちゃってるって〜。)
やっと動き始めた理性は警告をならすが、体は動かない。
下半身の方はそんな理性とは裏腹に恋人の体を求めてそそり立ち、
しなやかな手の感触と花弁の熱さを感じて中に入る事を渇望している。
ほんの少しだけ腰を落として軽くゆすると、少し戸惑ったようにつばを飲み込み、
そのままゆっくりと腰をおろした。
コレットが自分を飲み込んで行くのが見える。
中は溢れ出した液で熱く潤み、逃すまいと複雑に絡みついてくる。
「うあ!うはあっ!」
その質感に叫び声を上げてしまうが、それとは別にいつもとは逆の立場にいる事を思うと、
快感とは別なものがぞくりと背筋に走ったのがわかった。
「あ、ひゃあ、ああ、あーっ!」
ロイドが入ってくる感触に小さく歓喜の声をあげる。
(すごい、ロイドが、入ってくる…。私、自分からこんな事しちゃってる…。どうしちゃったの?)
その余韻を味わうかのように目をつぶっていたが、
それだけでは物足りなくなったのか少しだけ腰がゆれ始める。
「ふ、はあ…あう!」
そのたびにロイドには下半身から脳天までを貫く快感が襲ってくる。
動けない事がこれほどもどかしいとは思わなかった。
「んあ!ロイド…すき、だい、すき…。」
手が掴むものを求めて彷徨うが、手先に痺れが残っているためあまり大きくは動かず、
たとえ動いたとしても、比較的平坦な岩の上では掴むものなど何もない。
目の前で白い体が踊り、大きくはないが柔らかな弾力を持った乳房がゆれる。
体を支えるために下腹部に当てられている手は冷たい。
見た事のないその姿は刺激的で、中に入っているモノはその刺激にダイレクトに反応する。
徐々に激しさを増してくるコレットの動きに翻弄されるばかりだった。

コレットの方はといえば、下半身から伝わってくる快感に完全におぼれていた。
(止まらない、止まらないよう。どうしよう、どうしよう。)
同じ言葉が頭の中でぐるぐると回る。
いつもはロイドに身を任せる事が多かったため、
自分から快楽を求める事がこんなにもいいとは思っても見なかった。
それを知った体は理性を侵食し、自分が気持ちいい所を探してその動きを繰り返す。
刺激が弱く感じ始めると、また新しい場所を探す。
理性がかき消されてしまうまで、それほどの時間はかからなかった。
「ロイド、ロイド…ああん、ひああ、いいの…いい、の…。」
「や、やめ…。これっ…と、はげし…すぎ…。」
時折ロイドの首筋や胸板にキスをし、乳首をいじる。
そのたびに体が軽くはね、中に入っているモノが思いもかけないところをにあたる。
自分の胸とロイドの胸板が擦れ合って、更なる刺激を生み出した。

きつく唇をかみ締めてなんとか耐えてきたが、ついに限界を感じて叫ぶ。
「コレット、俺、もう、ダメ、だから…!」
「あ、ふああ、んん、ひあーっ!」
コレットの腰が深く落ち、奥へとあたる。
完全に体重がかかり、腰が密着している状態では外へ出しようがない。
その衝撃に耐え切れず、気がついたときには中へと解き放っていた。

お互いの荒い呼吸が絡み合い、響く。
息苦しさと達したばかりの気だるさが体を支配している中、
コレットの手がロイドの手に絡み、握り締める。
反射的に握り返して、体から痺れが完全に消えていることに気がついた。
自分の胸板に伏せているコレットの背を、握っているのとは反対の手で軽く抱き、身を起こす。
それに気がついたコレットは、先ほどまでとは違う、いつもの瞳でロイドを見上げた。
「ロイド、ごめんね。無理やりにあんな事しちゃって…。それに私ばっかり…。」
「いや、いいんだけど。その、何だか悔しい…。」
思わず苦笑いを返してしまう。
正直、いくら気持ちよかったとはいえ、ここまでコレットにやられっぱなしというのも少しだけ気が引けた。
「ねえ、どうだった?」
「どうだったって…」
「んもう、…きもち、よかった?」
「…よかったけど、もう勘弁。精神的にすごく辛かった…。」
「ならよかった。へへ、いつもロイドが私にしてくれてる事、真似して見たんだ。
 私、ロイドほど器用じゃないから、少し心配だったの。」
ぺろりと照れたように舌を出す。
その表情は失敗した時のいつものもので、つい先ほどまでの艶めいた所はどこにも感じられない。
そのギャップ気付き、乾いた唇を軽く舌で潤す。同時にコレットの中に入ったままの下半身に熱が回った。
「…あ、ロイド、あの、少し、大きく…。」
「え、あ、え、その、ごめんなさい…。」
思わずしゅんとうつむき、謝ってしまう。
「…ねえ、まだ、キス、してないよ…。」
突然かけられた、呆れるでも、怒るのでも、許すのでもない言葉に驚く。
コレットの空いた手が首に回され、唇が軽く重なった。
すぐに離れ、やわらかく笑っているのが目に入る。
「今度は、ちゃんとキスからはじめよ?」
青い瞳が閉じ、顔の中の色彩が唇の赤い色だけになった。
それに吸い込まれるように深いキスをする。
首に回された手が、すべてを重ね合わせようと、ぎゅっと押し付けられた。

腰を軽く跳ね上げるとくぐもった声があわせた唇の隙間から漏れる。
コレットのお尻に回されたロイドの腕はその体を支え、同時に上下に動かす。
達してからさほど経っていない為、上ってゆくペースは早い。
それでも翻弄された一回目とは違い、自分が優先権を持っている事で、
少しだけ彼女の体の様子を把握する余裕が出来た。
重ねていた唇はコレットの首筋を伝い、いくつもの跡を残す。
先ほどの借りを返すように激しくコレットの体を求め、円を描くように動かしたり、腰を打ち込み続ける。
その動きにあわせて細い首筋がぐっとのけぞり、白いのどを夜空へさらす。
首筋に散った赤い色が艶かしい。
中はきつくロイドを締め付け、複雑に絡み、頂点が近い事を感じさせる。
それを意識の片隅で確認すると、わざと少しだけ勢いを緩めた。
それに気がついたコレットはいやいやをするように首をうつむかせて横に振り、快楽にゆがんだ顔でロイドを見つめる。
「ろいど…イジワル、しないでよ…。イかせてよぉ…。」
「ん。どうせなら、一緒に…。」
言葉を切って再び唇を重ねる。
夜の空に、乾いた音と二種類の湿った音が響いた。

外で、そして木々を間にはさんでいるとはいえ仲間のすぐ近くで体を重ねている為、
無意識のうちに高ぶり、いつも以上に感じてしまう。
その事に興奮し、いつのまにか普段はしまっている半透明の翼が背中に輝いていた。
それはコレットを攻めているロイドも同様で、コレットのものとは形の違う大きな翼が
腕の中で踊っている彼女の華奢な体を包み込み、月明かりを受けてきらきらと輝いている。
誰か人がのぞいていたなら、激しく揺れ光を反射する水面、
刻々と色を変えて輝き絡み合う二つの翼、煌々と降り注ぐ月の光に取り囲まれ、
この世のものとは思えない眺めの中で行われている行為に目を奪われたであろう。
しかしそんな無粋な者はおらず二人もお互いを求めることのみに終始していたため、
この神秘的で…でもどこか背徳的な光景に気がつく事はなかった。

もう声は聞こえない。
聞こえるのはすすり泣きと自分の荒い呼吸だけ。

もう熱さしか感じない。
感じるのはつながっている部分と触れている場所だけ。

もうお互いしか見えない。
視界の端を自分とコレットの翼の光が掠めるが気にしない。

からみつく感触と、際限なくあがってゆく快感に、小さい火花がまぶたの裏に中に散り始める。
コレットの足はいつのまにかロイドの腰に回され、ぎゅっと離すまいと力が入った。
「コレット、そんなに力入れたら…。」
「や、いや!お願い…このままで…!それに、さっきだって、もう…。」
「…いいんだな?」
そう言うと強く体を重ね、ほてった体を抱きしめる。
コレットの体も声も、高みへと上って行くのを体全体で感じる。
「あーっ、ロイド、もっと、もっ…と!」
それに答えてぐっと深く体を貪ると、コレットの足にびくりとつま先まで力が入って体が震え、
抱きしめた背が弓なりに反り返り腰が密着する。ぎゅっとモノが締め付けられ、ひときわ強い光が意識を焼く。
同時に中へ精を解き放った。
「あ、はう…で、出てる、…ん……は…。」
「コレット、コレット…。」
名前を何度も呼んで、ぎゅっときつく抱きしめる。
「…あ……はあ。」
首に回されたコレットの腕から力が抜け、ぐったりとロイドへ体重を預ける。
その重みを感じると、愛おしさが胸の底からこみ上げてきて、少しだけ抱きしめた腕の力を緩めた。
青い瞳はどこか遠い所を見つめ、苦しそうな呼吸で胸が上下する。
上気した頬や額に軽くキスをすると、ぴくりとまつげが震え、瞳が閉じる。
放心状態から回復するまで、つながったまま、やさしくその背を叩き続けた。

       ※         ※          ※

「…先生、戻りました…。」
「…ロイド。」
「は、はい?」
押さえようとした声が微妙に裏返る。
「遅刻よ。ずいぶん遅かったわね。」
「ご、ごめんなさい…。えーっと、その…。」
「ま、それはいいとして、ほどほどになさいね。…私たちも配慮が足りなかったみたいだけど。」
「…あのーそれはーどーゆー…。」
「宿の部屋割りには気をつけるわ。あと…コレットの事、大切になさい。」
「そ、それはもちろん…って先生っ?気付いて…」
「さて、見張りの時間もだいぶ長くなったし、コレットも戻ってきたみたいだから私はもう寝ます。
 体が冷えてるでしょう?火にあたって、少し暖めなさい。二人とも風邪を引かないようにね。」
ロイドの言葉の途中で一気に言うと毛布をかぶり、横になって目を閉じる。
コレットが戻ってきた時にはすでに眠りの世界に落ちていた。
「あ、先生寝ちゃった?遅れた事謝ろうと思ったのに…。」
「うん、寝ちゃったみたいだ。明日謝れば大丈夫だと思う…。」
「そっか。うん、そうだよね。じゃあ、寝ててもいいよ。時間になったら起こすから。」
「いいよ。もう大分時間が経ったし一緒見張ろう。」
  (先生が気付いてる事、言わない方がいいよな…。)
「……うん。なら、いろんなこと話そ?」
  (私達の事気付いているよね…。後で色々…いろいろ聞いてみよう。)
火に薪投げ入れ、少しだけ火を大きくする。
ホーリーボトルの効果時間が切れ掛かっている事に気がつき、新しいものを周囲に落とす。
そうして二人寄り添い、毛布をかぶると夜明けまでゆっくりと語り過ごした。

そして後日、コレットはリフィルに性のことについて質問攻めをする事となる。
大半は自分から動くときの知識と、技術の事で…。
赤くなりつつも淡々と答えるリフィルの表情は、呆れたような、羨ましそうなものとなっていたとかいないとか。


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