作品名 | 作者名 | カップリング | 作品発表日 | 作品保管日 |
無題 | 273氏(19スレ目) | ヴァン×リグレット | 2006/01/12 | 2006/01/16 |
「閣下、この度のご還御、心よりお喜び申し上げます」 リグレットは恭しくヴァンに頭を垂れた。 栄光の大地エルドラント。 かつてはホドと呼ばれ隆盛を誇った街のレプリカの一画に二人はいる。 かつてヴァンが仕えたガルディオス家の屋敷があった場所。最も多感な時期を過ごした場所。 満月が崩れた廃墟を優しい光で照らし出し、複雑な形の影を落としている。その中で動いているのは生きている二人の影だけだ。 ちょうど同じ頃、ヴァンの妹も愛する男と一緒にアルビオール甲板から月とこの浮遊島を見上げている。 「リグレット、還御などという仰々しい言葉は貴種に使うものだ」 それに飾らぬお前らしくない、ヴァンは言った。瓦礫から突き出た石柱に見覚えでもあるのだろうか、柱をそっと撫でて目を細める。 「まさに閣下にこそふさわしい言葉です」 大真面目に答える。 「フフフ、珍しく口答えか?」 ヴァンの問いかけにリグレットは肯定も否定もせず、「真の高貴とは魂に宿るものではないのですか?」と問い返した。 この女がヴァンからの質問に質問で返すのも珍しい。 「お前の言う通りかもしれぬ。我々は肉体がなければ生きてゆけぬが、それだけでもまだ人として足りぬ。 ローレライをこの肉体に取り込んで以来、肉の不十分さ、不完全さがよくわかるようになった」 「総長閣下は鉄の意志をお持ちです」 「リグレット、私はもう総長ではない」 確かに彼は総長職を罷免され、その上一度死んでいる。現在のダアト教団に彼の居場所はない。もちろんリグレット然り。 「あなたが総長でないなら……」 リグレットは相変わらずマジメくさった表情で答える。 「私は副官ではいられなくなります」 「まだ私が憎いか、リグレット?」 「…………」 「数日のうちにアッシュか……あるいはルークがここにやってくるだろう。どちらも我々と共に歩むことを良しとはすまい。 今討たねば私は奴らに討ち取られるやもしれぬぞ?」 試すような口ぶりでヴァン。だがこの問いかけに対する答えはもう既にできている。 「閣下が討ち死にする時、すでに私は生きてはおりません」 かつて一度あったが、もうそれは起こらない。 命懸けで守るという宣言に閣下は目を細める。 「では憎くないのか? 私はお前の弟を死ぬに任せた男なのだぞ? それに……」 うつむき加減のリグレットを視線の先に捉えつつヴァンは続けた。 「お前を奪った男でもある」 この言葉にリグレットは顔を上げた。いつもの冷徹な表情でヴァンの視線を受け止める。 『愛していると答えれば、信じていただけますか……?』 そう訊いてみたい。でもリグレットの口から出たのは違う言葉だった。似ているようで全然違う言葉。 「憎んでいないと答えれば、信じていただけますか……?」 冷厳に見えてこの女は弟の仇を討つために自分を殺そうとした激しい一面を持っている。 いや、本来の気質は激しい炎のような女なのだろう。副官には不向きな性質だ。むしろ指導者にふさわしいのかもしれない。 ティアがこの女に心酔する理由もわかろうというものだ。 「ならばそれを証明してみせよ、ジゼル・オスロー」 そう答えるとヴァンはリグレットを抱き寄せた。強引に唇を奪う。 「!」 さすがにリグレットは驚いたみたいだったが、すぐに平静を取り戻した。これは彼女の望んだことでもあったからだ。 一片の贅肉もない逞しい腕に抱かれるにはリグレットの体はあまりに細く頼りなく見える。 「んっ、ン……ふぅ……っん……んふ……はぁはぁはぁ……」 キスから解放され、リグレットの乱れた吐息が月下の廃墟に吸い込まれてゆく。 やがてヴァンの腕からも解放され、完全に自由になった。 でもその代わりに愛の虜になってしまったリグレットはヴァンの足元に膝を屈し、彼の股間にそっと顔を寄せたのだった。
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