総合トップSS一覧SS No.5-059
作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
SOMETHING 'BOUT THE GIRL FRIEND kahala氏 エロ無し 2006/03/10 2006/03/11

その日、ジーニアスはプレセアを街外れの倉庫に呼び出した。
プレセアを招き入れると、入り口に背を向け、彼女と対峙する形に立った。
彼のゴクリと生唾を飲む音が、暗く静かな室内に響く。
険しい面立ちからも、何か重要な決意を窺い知る事が出来る。

ジーニアスの煮え切らない態度に耐え兼ね、プレセアが先に話し始めた。
「どうしたんですか、ジーニアス」
「プ、プレセア。もう分かってると思うんだけど、僕は君のことが好きなんだ!」
「はい」
「君は・・・、君は僕の事をちょっとでも好きでいてくれてるの?」
「はい、仲間ですから」
「そうじゃなくて、男としてって事だよ」
いつもと違う様子のジーニアスに気づき、プレセアは深く考え込んだ。
長い沈黙が彼等を包み込む。
時の経過と共に、ジーニアスの額に汗が浮かび、流れ落ちる。
状況をどうにか変えようと、彼は何か言おうとした。しかし、プレセアがそれを手で遮り、答えを出した。
「分かりません。そういうのはまだ・・・。それに、ジーニアスは恋愛について真剣に考えるのは、まだ早すぎると思います」
「また子供扱いする。プレセアだって子供なのに」
いつもと同じ様にあしらわれた事に、いきり立って言った。
今日は、そんな事で話を終わらせるつもりは無いのだから。
「はい、そうですね。私もそう思います」
「それに、僕は確かにまだ子供かもしれないけど・・・、僕は、僕は君と違って男だよ」
「はい」
「今、君を無理矢理どうにかする事だって出来るんだから」
「・・・それは、無理だと思います。今の私は、ロイドさんよりも力がありますから」
プレセアの言葉にカッとなり、彼女を壁際に追い詰め、服を破り裂いた。
「こ、これでも無理だって言うの!」
「シッ!待って。誰か来ます」
興奮する彼を前に、沈着にプレセアは外からの足音を捉えた。
誰かが、部屋に近づいてくる。

「え!ど、どうしよう!!」
「私がなんとかしますから、ジーニアスは隠れてください」
「で、でも!」
「早くしてください」
プレセアは、動揺するジーニアスを、側のある机の下に隠れるよう促した。
足音が段々と大きくなるに連れ、ジーニアスの震えが大きくなる。
「落着いてください。大丈夫ですから」
足音は部屋の前で止まり、ゆっくりと扉が開く。
「こんな所にいたのか」
足音の主は、リーガルだった。
いつまでも戻ってこない二人を心配して、リフィルが探しに行くように頼んだらしい。
「こんな所で何をしていたんだ。それに、その格好は一体・・・」
リーガルに言われ、プレセアは自分の格好に気づいた。
体つきは幼いにも関わらず、悲惨と言うよりも、艶かしい状態になっている。
「いえ、何でもありません。すぐに戻りますので、先に行ってて下さい」
追い返そうとしたが、リーガルは言葉を無視して近寄ってくる。
「やはり・・・よく似ている」
「アリシアとですか?姉妹ですから」
「姉妹だからといって、こうも似るものだろうか・・・」
そう言いながら、リーガルの手が少女の顔に触れる。
頬をなぞる指を感じながら、プレセアは必死に祈った。リーガルに限って・・・と。

「この指、肘から肩にかけてのライン、首筋に・・・本当によく似ている」
リーガルの視線が胸の辺りに来て、プレセアは傍にあった木の棒を強く掴んだ。
しかし、そのとき、アリシアの顔が頭を過ぎった。
手から力が抜ける。気持ちが緩んでしまったのだ。この人はに手をあげる事が出来ない。
そして、その瞬間を狙ったように、リーガルの唇が首筋に触れる。
「やっ・・・!」
「愛してるよ・・・アリシア・・・・・」
リーガルは唇を首筋から離すと、小さな唇を塞いだ。
その状態のまま、さらに身体を近づけると、左手で背中を支え、右手で下腹部をまさぐり始めた。
助けを求めたくても、声を出すことが出来ない。少女の瞳から、大粒の涙がこぼれる。
ジーニアス・・・助けて・・・・・。

「止めろ!プレセアから手を離せ!!」
ジーニアスは二人の前に飛び出した。
いくらプレセアの命令とはいえ、黙ってみている事が出来なくなったのだ。
しかし、突然の登場にも、リーガルは驚く様子もなく、平然としている。
「プレセア?何を言ってるのだ」
「それはこっちのセリフだ!プ、プレセアから離れろ!」
「まさかお前も私達の中を裂こうというのか?それならば容赦はしないぞ」
リーガルはプレセアから手を離し、ジーニアスに向かって襲い掛かる。
「プレセア!逃げて!」
ジーニアスはリーガルをかわし、プレセアに向かって叫んだ。
それを受け、プレセアは扉に向かって走り出そうとした。
しかし、かなわなかった。何か足をとられ、思い切り地べたに倒れこんでしまった。
いつのまにか、足に鎖がつながれていたのだ。

プレセアはもうダメだと覚悟した。しかし、予想したことは何も起こらなかった。
「どうしたんだ・・・。なんで逃げるんだ?お前は、やはりまだ私を許してくれていないのか?」
逃げ出そうとしたプレセアに、リーガルは悲しげな表情を浮かべている。
再び沈黙が場を支配した。
しばらくして、リ−ガルはゆっくりと座った。そして、自分の足につないでいた鎖を外した。
黙ってその様子を見ている二人に向かって言う。
「出て行け」
「あ、あのさ、リーガル・・・」
「聞こえなかったのか!出て行け!」
肩を震わせ、うつむいたまま二人を怒鳴りつける。床にはいくつかの染みが出来ている。
「リーガル・・・」
プレセアは、話しかけようとしたジーニアスを静止し、彼の手を握ると、部屋の外に連れて出て行った。
孤独な男を独り部屋に残して・・・。

「遅かったわね。どこに行っていたの?」
宿に戻ると、リフィルが待ちかねたように二人を迎えた。
「なっ!プレセア、どうしたの、その格好は!?」
「・・・聞かないでください」
「ジーニアス、まさかあなたが・・・・」
「ちっ違うよ!」
「じゃあ何があったって言うのよ!」
「なんでもないよ!今は、いいからほっといて!」
言い合う兄弟を横目に、プレセアは自室に戻っていった。
それを追うように、ジーニアスも姉を振り切り、ロイドのいる部屋へと走っていった。
「まったく、しょうがない子たちね。・・・あの子も、もうそんな年になったのね」
弟を見送る姉の後姿は、少し寂しげにも見える。
起きた事実は、そんな簡単な事じゃないのに。


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