総合トップSS一覧SS No.6-094
作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
無題 433氏(26スレ目) エミル×マルタ×ラタトスク 2008/07/12 2008/10/16

朝、目が覚めたらエミルの様子がおかしかった。
それが同じ布団で寝ていたマルタの、エミルに対するその日最初の感想であった。

ギンヌンガ・ガップからエミルが帰って来てから半年。
昼も夜も以前より少しだけ積極的になったエミルが、今はかつてのような自信のない表情でマルタを見ている。
「エミルぅ、どうしたのぉ?」
マルタの問いかけにも、あー、とか、えっと、とかどうにも煮え切らない返事しか返さない。
「もう、男ならはっきりするぅ」
昨夜の疲れが抜けきらないマルタが、前はよく言っていたっけ、懐かしいなぁとまどろみの中で感じていると、
「うん、そうだね。あのね、マルタ」
ようやくエミルがまともな言葉をマルタに返す。
が、次にエミルの口から出てきた言葉はマルタの眠気を飛ばすのに十分すぎるものであった。
「僕と一緒にギンヌンガ・ガップへ来てくれないかな?」
掛け布団とともに眠気を一気に吹き飛ばしたマルタが、
なにかあったのか、封印が解けそうなのか、みんなは集めなくていいのか、
と布団から立ち上がり、エミルの肩を掴んで前後に揺らしながら矢継ぎ早にエミルに質問を浴びせる。
対してエミルは、
「あ、あのね、そんなに大変な事態にはなっていないから大丈夫。僕と二人で来てほしいんだ」
と、マルタの反応が一番の大事件のような調子でマルタの肩を掴んで座らせる。
「でも、なんでいきなり?」
マルタがエミルに顔を近づけて理由を問う。
エミルは少し顔を赤くしながら、
「来てくれればわかるよ。それより、」
「それより?」
「とりあえず、服を着ようよ」

その晩、エミルとマルタは異界の扉の前にいた。
「でも、どうやってギンヌンガ・ガップまで行くの?扉は閉じちゃったんでしょ?」
マルタがエミルに対して疑問を口にする。
「閉じたのはラタトスクだからね。ラタトスクが開きたいと思えば開くんだ」
エミルの回答に、それでいいのか扉の守護者、とマルタがあきれていると、
「それじゃあ、パッと行くから、ちょっと目を閉じていて」
エミルからマルタに不思議な言葉がかけられる。
「え、パッと行くってなに?」
謎の言葉にマルタが反応する。
「こっちの話。それより、早く目を閉じて」
訝しがりながらもマルタが目を閉じる。その姿を見て、エミルにちょっとした悪戯心が芽生える。
「っ!」
次の瞬間、マルタは自分の唇にエミルの唇の感触を感じた。
驚いたマルタが目を開けるとそこはすでにギンヌンガ・ガップ、あの日、閉じた扉の内側であった。
「はい、到着」
唇を離したエミルが笑顔をマルタに見せる。
「えっと、キスワープ?」
顔を赤くしながらマルタがエミルに尋ねると、
「違うよ。キスは僕がしたかったからしただけ」
エミルの見せていた笑顔が悪戯っぽい笑顔であることに気づいたマルタは顔をもっと赤くして俯き、
「もう、エミルったら」
消え入りそうな声で呟く。エミルがなに?と聞くとなんでもない!と目をつぶって顔をあげる。
そのとき、奥の方から聞き慣れた声が飛んできた。
「見せつけてくれるじゃねぇか、お二人さん」
エミルと全く同じ声で放たれた声の主に対して、マルタはその名を呼ぶ。
「ラタトスク!」
「俺もそいつもエミルでありラタトスクなんだが、まあ、読者に分かりやすいからその呼称でいいか」
半分あきらめた調子でラタトスクはその赤い眼をエミルに向ける。
「なんだ、理由も伝えないで連れてきたのか」
「自分の口から伝えた方が良いと思って。それに僕もいまいち君の真意が掴めていないし」
少しいらついた口調でエミルに問うラタトスクとそれを意に介していないように返すエミル。
「どういうこと、ちゃんと説明して」
そんな二人に対し、強気に説明を求めるマルタ。
「そうだよ、マルタに説明してあげて」
少し楽しそうなエミルの言葉に、うるさいお前が言うなといった視線を投げた後、ラタトスクは咳払いをひとつ。
ラタトスクが少し顔を赤らめ、迷ったエミルのような表情を一瞬だけ見せて、それでも毅然とマルタの眼を見て言い放つ。
「俺も、お前とセックスがしたい!」

は?といった口と表情で固まるマルタ。
やっぱり言うんじゃなかったとすごく後悔した赤面顔を伏せるラタトスク。
静寂が時を支配した。おそらくこの静寂が続けば世界は平和であっただろうが、それを破るように、
「ねえ、その言い方はさすがにストレートすぎると思うんだけど」
エミルがラタトスクに声をかける。
「う、うるさい!俺は回りくどい言い方は好まないし、できない!」
「でも、さすがにそれは過程を飛ばしすぎてないかな。っていうか、それ力強く言う言葉じゃない」
顔をさらに赤くしながら必死に自己弁護するラタトスクとそれを打ち砕くエミル。
停止していたマルタの思考がようやく動き出し、ラタトスクに負けない位顔を真っ赤にして、
「ええっ! いや確かにあなたもエミルだし、エミルもラタトスクだから私はその、いやでもいきなりどうして」
パニックになりかけている自分を抑えようと必死に言葉を紡ぎだし、最後になんとかまともな言葉を口にする。
「それにほら、ここにはリヒターもいるんでしょ、まずいよこんなところで」
本人が現状を乗り切ろうとして出したその言葉は、しかし、事態を加速させるだけの燃料でしかなかった。
「そのリヒターが問題なんだっ!こっちへ来い!」
ラタトスクは2人の手を掴むと、魔界との扉の方へ連れていく。
そこには以前はなかった壁と簡単な扉があり、橋から向こうの扉が見えないようになっていた。
「そこの扉に耳をつけて、向こうの声を聞いてみろ!」
エミルとマルタが扉に耳をつける。すると、
「う、や、やめろアクア」
「んっ、リヒターさまっ」
「だからそこはやめろと何度言ったらっ!」
「ここが良いんですよね、大丈夫です、わたしも、もう、耐えられなくっ!」
「何が、大丈夫、なんだあぁぁぁぁぁぁっ!」
「ああっ!リヒタァさまぁぁぁぁっ!」
声が途絶え、あとは荒い息だけが聞こえてくる。
「えっと、これは」
「あのリヒターさんが、こんなことを」
エミルとマルタの二人愕然とする後ろで
「今日はまだ大人しい方だ。あれを聞きたくないから壁と扉を作ったのに、この間はこちらまで響いてきた」
ラタトスクは頭を押さえ、熟成した感情を解放しないように気をつけながら言葉を続ける。
「リヒターが動けないことをいいことにアクアもどんどん過激になってきているようでな」
「そんなことになっていたなんて」
エミルが感想を漏らす
「アクアのことをコアに戻してやりたいが、現在はマナの分断作業中だ」
「そういえば、今センチュリオンはその作業の最中なんだよね」
テネブラエは元気かな、とマルタの考えが別のベクトルを向こうとするのを遮るように、
「それにあれでもリヒターにマナを分け与えているからやめろという訳にもいかなくてな」
マルタの顔を見てラタトスクが続ける。
「でも、それがどうして私とセ、セックスすることに繋がるの?」
マルタがセックスという単語に少し顔を赤くしつつ、ラタトスクに問う。

「それは多分、僕のせい、かな?」
「エミルの?どうして」
ラタトスクではなく、エミルの回答に首をかしげるマルタ。
「そう、そうなんだよエミル」
今度のマルタの疑問に答えたのはラタトスクであった。
「毎晩毎晩リヒターとアクアの情事を聞かされ、半端に精神が繋がっているお前は毎晩マルタと!」
ラタトスクの独白は止まらない。
「俺はエミルとしての精神に影響を受けすぎた。健康な若い男子がこんな生殺し状態に耐えられるか!耐えられる訳がない!」
かける言葉が見つからず、半端に口を開いた状態で止まるマルタと、
半年の間のマルタとの情事を思い出し、すまなそうな顔をするエミル。
「俺だって、俺だってなぁ、マルタのことが大好きなんだよぉっ!マルタと愛し合いたいんだぁぁぁぁっ!」
デクスが乗り移ったのではないかというようなラタトスクの後先を考えない絶叫、いや告白に顔が赤くなるマルタ。
人格が違うとはいえ同一人物から2回も告白を受けることになるとは彼女も考えていなかったのだろう。

「でも、それなら僕と替わるだけでよかったと思うんだけど」
エミルが正直な感想を口にする。
「そうだよね、キミたちは人格入れ替えできるんだからそれで良かったんじゃない?理由さえ説明してくれれば、その、私も、あの」
エミルの感想に同意しつつも、それがどういうことか想像していくうちにマルタの声がどんどん小さくなる。
「バカ野郎、俺が味わった苦しみをお前に味あわせるなんてこと出来るわけないだろう。お前は俺なんだから」
と、よく分からない理屈を返すラタトスク。おそらく言っている本人もよく分かっていない。
「えっと、つまり、キミはどうしたいの?」
マルタがラタトスクに言葉を促す。
その言葉がラタトスクに状況を進めるための引き金を引けと催促していることを自覚しないまま。
「つまり、その、3人で、できないか?」
消え入りそうな声で引き金を引いたラタトスク。恐る恐るマルタとエミルの反応を見る。
マルタは驚いた表情で、エミルはようやく得心が行ったという表情でラタトスクを見ていた。
マルタの表情を見たラタトスクは、
「あ、いや、お前が嫌ならその、無理強いはしない。戻ってエミルと仲良くやってくれ」
自分を恥じいるような、それでいて今にも泣き出しそうな表情でマルタに告げた。
「そんなことないよ」
穏やかなマルタのその言葉に、今度はラタトスクが驚いた表情を見せる。
「私が好きになったエミルはエミルだけじゃない。キミも、私が好きになったエミルなんだよ」
マルタはラタトスクの首に腕を回し、顔を近づけて軽いキスをする。
「いいよね、エミル?」
マルタからの確認にエミルは、
「うん、マルタがいいなら3人でしよう」
少しだけ複雑そうな表情でそう答えた。

「なんでここにこんな立派なベットが?」
そう呟いたマルタが座っているのは
かつてアルタミラのロイヤルスイートで見たベットと同じくらい豪華な、いや全く同じベットであった。
「以前泊まった時の記憶から再現した。精霊の力だ。詳しくは聞くな。ご都合設定というやつだ」
マルタの疑問に答えているようで、少しずれている答えをラタトスクが返す。
「まあいいじゃない。床や立ってするよりはいいでしょ?」
「それは、そうだけど」
エミルのよく分からないフォローでベットの件については有耶無耶となる。
「で、ここからはどうすればいいんだ?」
三人、裸になってベッドの上に座ったところでラタトスクがそんなことを言い出した。
「考えてなかったの!?」
驚きと呆れが混ざったような声でマルタが問う。
「あ、ああ」
マルタの肢体を直視できず、ちらちらと視線を動かしながらラタトスクが答える。
「呆れた。キミって結構考え無しだよね」
腕で薄い胸を隠したマルタが少しだけ前かがみになる。
無論、ラタトスクの煮え切らない視線には気付いている。
「し、仕方ないだろう。ここまでしか考えていなかったんだから!」
マルタの動作に耐えきれなくなったのか、ラタトスクがそっぽを向く。
「とりあえず、最初はキスからじゃないかな」
そんな締まらない状況を見かねてか、エミルが口をはさむ。
「まずは僕がするよ。いいよね、マルタ、ラタトスク?」
「う、うん」
「あ、ああ」
意外なほどに積極的なエミルの発言に思わず頷くマルタとラタトスク。
「それじゃあ、いくよ、マルタ」
「えっ」
マルタの答えを待たず、マルタの頭を右手で押さえ、
左手は胸を隠していたマルタの右手を握り、エミルはマルタの唇に自分の唇を重ねる。
「んっ」
間髪入れずにエミルは慣れた動きでマルタの舌と自分の舌を絡ませる。
お互い目を閉じ、ただただ互いの唾液を交換することに意識を集中する。

キスを始めてからたっぷり1分、満足したように唇を離す二人の間には銀色の懸け橋。
頬を高揚させ、ぼーっとしているマルタ。それを見たエミルは声を低くして、
「次はラタトスクの番だよ」
二人のキスに見入って、色々と停止していたラタトスクに話しかける。
「えっ!お、俺の番?!?」
慌てるラタトスクに対し、エミルは、
「マルタがあの状態になったら何か刺激を与えない限りしばらく意識が戻ってこないことは知っているでしょ」
君は僕なんだからね、とラタトスクの背中を押す。
「その位、分かっている!」
エミルはマルタが正気に戻る前に更なる追い討ちをかけろと告げている。
そう理解したラタトスクはマルタの肩をつかみ、布団へと一気に押し倒した。
「へ、え、な、なむぐっ」
押し倒された衝撃で意識が帰ってきたマルタの驚愕の言葉を遮るように、ラタトスクはマルタの唇を自分の唇で塞ぐ。
断わっておくが、ラタトスクはこうこいったことの経験値が無い訳ではない。
いや、本当の意味では初めてなのだが、エミルと精神が繋がっているおかげで、技術はエミルと同じ物を持っている。
要するに、ラタトスクは下手糞ではなく、マルタを満足させることは十分に可能なのである。
しかし、当然のことながら彼の性格はエミルのそれとは全く違う。
マルタのキスにもその性格の違いが表れていた。
(んっ!エミルとは、違う)
不快にはならない。むしろ気持ち良いのだが、
ラタトスクのキスはエミルのキスと違い、自分のペースが乱されるようなキスだ。
エミルが一緒に快楽の道を一緒に登っていくようなキスであると例えれば、
ラタトスクのそれは彼に引張り上げられるようなキスである。
それに加え、マルタはつい先ほどまでエミルと同じくらい深いキスをしていた。
残っていたキスの残滓と、いつもと違う新たな感覚。
マルタは自分がいつもよりも早く体が昂っていくのを感じていた。

2人がキスを続ける中、エミルは自分の口の中に違和感を感じていた。
先ほどまでのマルタとのキスの残滓かとも思ったが、
時間が経っても無くならず、むしろ強くなっているような感じさえする。
「まさか、ね」
そう呟き、エミルは2人に近づいていく。
ラタトスクが右側から押し倒したような体勢となっているため、
マルタの右足はラタトスクの両足に固定されるような形となっている。
エミルはマルタの左足を掴んで股を開くように動かし、自分の体を左足の上にのせる。
マルタがそのことに反応する前に、エミルは器用に唇と舌を使い、マルタのクリトリスの皮を剥いていく。
驚いたマルタが抵抗しようとするが、両腕と右足はキスを続けているラタトスクが、
左足はエミルが拘束するような形となっているため、抵抗らしい抵抗もできずされるがままとなっていく。
先ほどのリヒターとアクアの情事を盗み聞きしたことが効いているのか、
いつもよりマルタの感度が良い、とエミルは感じた。
(これなら、もう大丈夫かな?)
舌はクリトリスを刺激したまま、左手の指をマルタの膣に侵入させていく。
マルタの体が抵抗を増す。しかし、やはり二人の男に拘束された体では、満足な抵抗とはならなかった。
エミルの左手はいつもマルタが「気持ち良い」と言ってくれる部分を重点的に愛撫する。
マルタの秘所から液体が次々と溢れ出すまで、それほど時間はかからなかった。

見ると、ラタトスクも右手でマルタの胸に愛撫を加えている。
マルタの体型のせいで、揉むというよりは撫でると表現した方が正確なその愛撫は、
しっかりとマルタに快楽を与えている様子であった。
マルタの左腕がラタトスクの右腕を掴んでいるが、動きを阻止するでもなく、
ただ添えられているだけのようにしか見えない。
負けていられないとばかりに、エミルは自分の右手でマルタの愛液を彼女の肛門に塗りたくっていく。
マルタの体の強張りがさらに増すのを確認して、
エミルは右手の指をマルタの肛門に侵入させ、膣と同じように愛撫を加える。
もはやマルタの体は限界であった。与えられる快楽を必死に逃がそうとし、
拘束によりそれが出来ない体ではこれ以上耐えることは不可能であった。
マルタの体がさらに強張り、膣と肛門がきつく収縮する。
マルタが絶頂を迎え、その後体の強張りが解けるのを確認し、
エミルとラタトスクは愛撫を止め、マルタから体を離す。
「お前を通して見ていたが、本当にこいつは感じ易いんだな」
眼を閉じて、荒い呼吸を繰り返しながらぐったりしているマルタの体を見ながら、ラタトスクは正直な感想を述べる。
「まあ、キスと一緒に体中を触られたのは初めてだったからね。
あ、これマルタのあそこの液体。舐めてみる?」
無造作に突き出されたエミルの左手を少し躊躇してから舐めるラタトスク。
「なんか変な味だな。というか、これは女に対してやる行為じゃないのか?」
ラタトスクがもっともな感想をエミルに返すと、
「もうそれはさんざんやったし」
なんでもない口調でエミルはそう答えた。

「さて、それじゃ本番に行こうか」
お互いの股間の状態を見て、休憩も挟まずにエミルがラタトスクにそう告げる。
「いいのか?マルタの奴、いい感じにグロッキーだぞ?」
いまだに目を開ける気配すらないマルタを見て、ラタトスクはエミルに確認を取る。
「布団の上のマルタは気持ち良くてぐったりしているのが一番かわいいんだ」
そんなの常識だよ、と言わんばかりにエミルがラタトスクに答える。
「お前、意外とSなんだな」
「え、Sってアリスみたいな人のことを言うんでしょ?」
自分の分身の意外な一面を見て、思わず感想を漏らすラタトスクと、それを否定するエミル。
「君からで良いよ。セックスがしたいって言ってきたのは君だから」
エミルがラタトスクに先を譲る。その表情を見て、
「お前、これからすごいことをやろうとしているだろう」
ラタトスクがエミルに問いかける。
「あれ、やっぱり分かる?」
エミルの返答に、そりゃ、俺はお前だからなぁ、と投げやりに返すラタトスク。
「お前のやろうとしていることをやるんなら、俺は下の方が都合がいいよな?」
「うん、君がそれでいいならそれで。」
ラタトスクがベットに仰向けになり、エミルがマルタを抱きかかえる。
「マルタ、マルタ」
「ん、エ、ミル?」
エミルがわざとマルタの意識の覚醒を促す。しかし、その覚醒を待たずに、
「頑張ってね」
とだけ告げると、マルタの秘所をラタトスクの肉棒にあてがい、一気に挿入した。

声を上げようとするも、突然の衝撃からくる体の強張りで声が上げられないマルタ。
少し時間が経過し、現在の状態に慣れてきたマルタが抗議の声を上げる。
「い、いきなりは、はうっ。ないと、思うんだけどんぁ」
なんとか話せる状態にはなったものの、それでも自分を貫く物体が気になるらしい。
腰と腕に力が入らず、仰向けのラタトスクに向かい合うような形で
体を預けるような体位となっていることも影響しているのかもしれない。
「これからもっとすごいことになる。舌を噛まないようにするんだな」
自分の分身で直に感じるマルタの膣内の感触に耐えながら、ラタトスクがマルタに声をかける。
「え、これからって、ひゃぁぁん」
マルタが疑問に思う前に、彼女の後ろの穴に刺激が走る。
「うん、これなら大丈夫かな」
ぐにぐにと肛門の調子を確かめるエミル。
「ちょ、エミル、まさかそっちに!?」
「大丈夫。この間は入ったでしょ?」
驚愕に目を見開くマルタと、安心させようとして逆効果にしかなっていない声をかけるエミル。
「こ、この間は前に何も入っていなかったから大丈夫だっただけで、ちょと、本当にまって、心の準備が!」
「じゃあ、入れるよマルタ」
マルタの必死の抗議を聞き流し、エミルはマルタの後ろの穴に自分の分身を挿入する。
「っつぁくっ!!!」
最初こそ声を上げたものの、エミルの分身が全て収まる頃にはマルタの口は声を上げられなくなっていた。
挿入の衝撃で忘れた分の呼吸を取り戻そうと必死で口を動かすが、空気が上手く肺に入っていかない。
なんとか呼吸が落ち着いてきて、2人に抗議できる位まで精神に余裕が戻りかけてきたところで、
「それじゃあ、そろそろ動こうよ」
「大丈夫か?マルタ、壊れちまうんじゃねぇか?」
「大丈夫。マルタは感じやすいだけで脆くはないから」
すずめの涙ほどの余裕を吹き飛ばす2人の声と動きがマルタを襲う。

2人が動き出して直ぐに、マルタは絶頂を迎えていた。
マルタの気持ちのいい部分を知っている2人が、より激しい快楽をマルタに与えようと前後の動きを合わせ、腰を動かす。
「あ、かっ、はぁっ! んぁぁっ!」
マルタの口からはもはや呼吸困難と快楽から来る喘ぎ声しか出ていない。
そんな彼女を責めている2人もまた、予想していなかった状態に置かれていた。
「ねえ、ラタトスク、これって」
「ああ、2人分だな、これはっ」
精神の共有を解いていなかったエミルとラタトスクの二人はお互いの性器が受け、与えている快楽を共有していた。
「さっき、君がキスしているときに、感じた、違和感は、これだったんだね」
「なん、で、だ? お前たちが、以前、していたときは、こんな、変な、感覚共有は、なかった、ぞ」
「た、ぶん、お、互いに、近くに、いる、からじゃ、ない、かな?」
「なん、だ、その、いい加減な、理由は、ぁぁっ!」
お互いに余裕がなくなり、言葉が途切れ途切れになる。
「え、みぃ、るぅ、らぁ、たぁとぉ、すクうぅぅぅぁぁっ!」
絶頂を迎えた後も休みなく快楽を与えられ続けたマルタも、三度目の絶頂へ向けて意識が白くなっていく。
2人から快楽を与え続けられた少女と、2人分の快楽を受け、与え続けた少年たちに限界が訪れる。
「「マルタぁぁっ!」」
「んあぁぁぁぁぁぁっ!」
三人は同時に達し、マルタの前後の穴に精が放たれる。
「い、つもより、いっぱい」
自分に注がれるものに対して、マルタが感想を漏らす。
三人はそのまましばらくベッドの上で抱き合っていた。

情事が済んだ後、三人はマルタを中心に川の字になって布団の上で横になっていた。
「うう、腰が痛い」
「ご、ごめんね、マルタ」
「責めてるわけじゃないけど、ちょっと反省してほしいな、エミル?」
少しだけ刺々しいマルタの言葉と、ひたすら恐縮するエミル。そんな二人を見て、、
「しているときは性格が変わるのか?もう一人の俺は」
自分のもう一つの人格の意外な一面に、改めて驚き、呆れるラタトスク。
「で、君は満足した?ラタトスク?」
マルタから会話を振られたラタトスクは、
「そうだな。気持ち良かったよ」
そう答えた後、一拍を置いてマルタの名前を呼ぶ。
「なあ、マルタ」
気持ち良かったの部分で頬を赤らめていたマルタは、自分の名前を呼ばれて、顔に疑問符を浮かべる。
「なに?」
ラタトスクは自分の愛しい人の顔を見て、少しだけ微笑むと、
「いや、なんでもない。エミルのことをよろしくな」
そう言って目を瞑る。
――このまま、ずっと3人で過ごさないか――
そう言いたかった。言ってしまいたかった。
ラタトスクの力を使えば彼女の存在を精霊と同じくすることもできる。
そうして3人、この世界が終焉を迎えるまでこの場所で過ごせたらどれだけ良いだろうか。
しかしそれはきっと叶えてはいけない願い。
人間の一生に精霊が関与した結果と、それが引き起こした事態を彼は身をもって知っている。
「変なの」
マルタの声を聞き、あとはこの幸せなまどろみに身を任せようとしたラタトスクであったが、
「それじゃあ、もう一回戦行こうか」
エミルの発言に、急速に意識が戻ってくる。
「エミル!?もう一回ってちょっと!反省はどうなったのよ!」
「今度は感覚共有をちゃんと絶って、ね」
マルタの抗議をスルーし、ラタトスクに笑いかけるエミル。
「ちょっとまって!そんな事されたら今度こそ本当に私!」
「はははっ、そうだな」
先ほどの感傷はどこへやら。ラタトスクも笑いながらマルタの抗議をスル―し、2人でマルタに抱きつく。
「私の話を聞いてってば! ってあっ、そこはっ! だめぇ」
愛撫が開始され、マルタの嬌声が響く。

「やれやれ、入る機会を逃しましたな」
ギンヌンガ・ガップの扉の前、闇のセンチュリオン・テネブラエが呟く。
マナの分断作業の報告に戻って来たところ、扉の中から聞こえてくるマルタと主人2人分の声。
何が起こっているかは最近の主人の様子から容易に想像できた。
「ふむ、英雄色を好むという言葉がありますが、あのロイドや我が主達を見る限り真実のようですな」
もっとも、男女比は異なりますが、と付け加えるテネブラエ。
「まあいいでしょう。我が主が満足されるまで待つとしましょうか」
そう決めたテネブラエは扉を離れ、マナの分断作業に戻る。
ちなみに、彼がラタトスクのもとへ報告へ行くことが出来たのは、それから一週間後のことである。

おわり


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