総合トップSS一覧SS No.7-040
作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
無題 751氏(28スレ目) エロ無し 2008/11/24 2008/11/30

「私を抱きなさい、デクス」

素っ気なく告げれば、デクスは哀しげに笑って口付けた。

何でそんな顔するの?私とこういうことがしたかったんでしょう?結局デクスも周りの人間達と変わらないのだろうか。
そもそも何でこんな命令を出したのだろう。
わからない。
でも今は無性に、誰かのぬくもりが欲しかった。

口付けが深くなる。けれど乱暴じゃなくて、繊細に、優しく。
ムチャクチャにしてくれたって構わないのに。
酸素が足りなくなって胸板を叩けば、デクスは素直に離れて。
やんわりと、私をベッドに押し倒した。
指がするする動いて、私の服を脱がしていく。
その間もずっと、デクスの表情は哀しみを映していて。

「もういいわ、やめて」

手がピクリと反応し、動きが止まり、やがてベッドからデクスは立ち上がった。
いつもあんなに言い寄ってくるくせに。
ヤりたいなら無理矢理強行すればいいのに。

「どうして?」

出すつもりの無かった言葉が、勝手に出てきた。
止めようとしても、堰を切ったように言葉が次々出てくる。

「抱きたいなら抱けばいいじゃない。アリスちゃんが好きなんでしょ?絶好のチャンスなのよ?」

デクスは答えない。

静かに私の言葉を聞いている。

「どうせアンタも心の中ではハーフエルフを蔑んでるんでしょ?だから私を抱けないんでしょ?」

どうか頷いて。
別の答えなんか要らないの。
でも私の願いを無視して、デクスの首は横に振られ、口を開いた。

「俺がアリスちゃんを守るって決めたから」

だから、無理矢理抱くなんてできない。
真剣な面持ちで私の顔を、目を見ながらデクスはそう言い、背を向けた。

今度は体が勝手に動いた。

気付けば、自分からデクスを抱きしめていた。
アリスちゃん? なんてデクスの少し驚いたような声が背中越しに聞こえる。

「デクス、私を抱いて」

命令じゃなくなった。お願いだった。自分でも、驚いた。
デクスは暫く黙っていたけれど、やがて私の腕をほどき、ベッドに再び押し倒した。

「ホントに俺でいいんだね?」

真剣なデクスの顔を直視できなくて。
背けてから頷いてみせた。
デクスの顔が近づいて、軽い口付け。どんどん深くなっていく。

デクスの手が、また動き出した。


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